大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和23(れ)1132 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人古川豊吉同水野久上告趣意第一点について。

しかし、竊盗既遂罪は、犯人が不法領得の意思を以て事実上他人の占有すなわち

社会通念上他人の支配内にあるものと認められる物件を他人の意思に反して自己の

支配内に移したとき完全に成立するものであつて、所論のごとく犯人が更にこれを

自由に処分し得べき安全な場所に持去ることを要するものではない。そして所論は、

本件では被害者が判示自転車を判示A方表軒下に置いて対談中被告人は該自転車の

スタンドを動かし把手を持ち、これに飛乗り走り出し七、八間離れた場所でその自

転車を取戻されたというのであるから、その主張自体によるも本件自転車は被害者

の支配内より被告人の支配内に移されたものであること明白であり、従つて、竊盗

既遂の罪は、被告人の支配内に移されたとき完全に成立したものといわねばならぬ。

されば、原判決が判示と同趣旨の被告人の原審における供述と被害者の被害並びに

事実始末書の判示に符合する記載とを綜合して判示竊盗既遂の事実を認定する旨説

示し、これに対し竊盗既遂の法条を適用したのは正当であつて、原判決には所論の

ような擬律錯誤若しくは理由不備の違法はない。論旨は、その理由がない。

同第二点について。

しかし、原判決の基礎となつた原審第三回公判調書並びにこれに引用されている

所論同第二回公判調書によれば所論始末書につき証拠調を為す旨を告け被告人の意

見弁解を求めたこと明白であるから論旨は全くその理由がない。

よつて刑訴第四四六条に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

検察官 橋本乾三関与

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昭和二三年一二月二七日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 齋 藤 悠 輔

裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 岩 松 三 郎

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